ジェレミーさん、日本に来る前は?
ジェレミーさんは15年前に磁器のテーブルウェアの製造を開始しました。彼女の専門は細密画ですが、ろくろや手びねりの技術も使っています。カナダのモントリオール美術館で6年間調停員として働いていました。そこで、陶芸と美術史についての学びを得ました。彼女は、絵画とデッサンの学士号と美術史の修士号を持っています。
日本にはいつ来ましたか?
私は2017年に初めて日本に来て、金継ぎを学びました。日本の文化と、磁器作りの長い歴史に魅了されました。2年後、私は有田に移り住み、有田焼のすべてを学ぶことにしました。今でも金継ぎを学んでいますが、今は古い上絵付けの赤絵の練習をしています。
ジェレミーさんの金継ぎの先生は、塚本尚司さんという方で、金継宗家として伝統技術を芸術にまで高め、広く海外にまで金継ぎの技法を普及させています。
今、どんなことに取り組んでいるんですか?
現在、コレクションをさらに拡大するための新しいタンブラーをデザイン中です。また、磁器製のアクセサリーのシリーズにも取り組んでいます。
ジェレミーさんは、有田町で絶大な人気の幸楽窯に所属しながら、技術の習得や各種イベントへの取り組みを行っています。動画で隣に座っているのは、幸楽窯の徳永社長さんです。ジェレミーさんには、温かく時には厳しく接しているのがよく分かります。
ジェレミーさんの今後のビジョンや抱負は?
私は、眠っている古い磁器を再利用し、再活用する新しい方法を探しています。使われていない素材に新たな目的を見出す。また、地元の工芸品を普及させ、有田焼の知識を広めていきたいと思っています。
遠い国カナダから、わざわざ狙いを定めてこの地「ARiTa」に来てくれて、有田焼を学び、SDGsとの融合まで視野に入れているジェレミーさん。その明るいキャラクターは、周りの人に応援したくなるオーラを漂わせています。(ゆるり散歩堂)
ジェレミーさんの作品 ミミズプロジェクト
ジェレミー パレ ジュリアンさんによる幸楽窯とのコラボレーション。
屋外に長年放置されていた器を再び窯で焼くと、表面にミミズが這ったような模様ができることがあります。この模様はミミズと呼ばれ、白磁の美しさが魅力の有田焼においては不良品とされてきました。ジェレミーさんはこのミミズに注目し、彼女のインスピレーションにより、新たな表現としてミミズを活かした作品を世に送り続けています。
ジェレミーさんの作品 旅するタンブラー
幸楽窯 徳永陶磁器(株)にて作陶をしているカナダ人陶芸家ジェレミー パレ ジュリアンさん。有田をはじめとする「肥前やきもの圏」の歴史や文化、やきものの美しさを多くの人たちに伝えるため、日々作陶活動をしています。このタンブラーを製作するにあたり、肥前やきもの圏を旅しインスピレーションを得たジェレミーさん。彼女の体験、感じ取ったものを5つのデザインで表現しています。
旅先でタンブラーの写真をシェアしたり、他のタンブラーの旅を見ながらコーヒーブレイクしたり。旅の思い出や、旅の冒険を追体験することも「トラベリングタンブラー」のコンセプトの一つ。世界との距離がグッと身近に…。トラベリングタンブラーで旅する、という新しい概念を提案していく新しいやきものプロダクトです。