起山窯 ものづくりの二つの軸
起山窯の特徴を先に述べておきたいと思います。「山水絵の染付」と「白磁の透し彫り」のふたつが起山窯のものづくりの軸になっています。白磁の透し彫りは、主に香炉に活かされていますが、最近では、新しい商品群の中の一部にも、これをとりいれて起山窯の「らしさ」を際立たせています。
また、山水絵と透かし彫りの組み合わせなど、作品のバリエーションにも広がりを見せ、さらに近年は、山水絵そのもののデザイン性にもアレンジを加えながら、箸置きや筆筒など小さな作品にチャレンジ性を反映させています。
起山窯 作家のキャリア
有田町で生まれ育った起山窯のyukikoさんは、有田町にある有田窯業大学校で焼き物を学び、その後、お父様の陶業を手伝ってきました。今は、40年前にお父様が起こされたこの窯を、yukikoさんが引き継ぐ形で、ひとり制作に勤しんでいます。
起山窯の窯名の「起」には、yukikoさんの名前の一字があてられています。yukikoさんは、お父様が花瓶や壺に描いてきた山水絵を、子供ながらに凄いなと感じていました。この図柄を繋いでいきたい、習得したいとの思いで描き始めたそうです。
お父様の仕事を手伝い始めて間もなく、yukikoさんは、有田町の日本画家、日本美術院・石井健氏に教えを受けました。1997年から98年にかけて、次のような入選、受賞歴があります。
・1997年 佐賀県展日本画 入選
・1998年 佐賀県展日本画 奨励賞
・1998年 日本美術院 春の院展 初入選
現在、起山窯の特徴のひとつであるyukikoさんの山水絵は、こうして作品に反映されることになりました。yukikoさんは自身のページの中で、「小さな窯元ですがどうぞよろしく」と述べています。小さな窯元ならではの小回りを利かせ、自分らしさに時間をかけるしなやかさがひょっとしたら大きな強みになるかもしれません。